【INC November最終1828】純正トルネオーガゼルネ
2018の記事を書かなさすぎたせいで更新が約一年ぶりになってしまいました……
VGC2019サンシリーズのルールで開かれた、INC Novemberの使用構築の解説記事になります。
【構築選択経緯】
グラードンやカイオーガなどの強力な伝説ポケモン、いわゆる禁止伝説を2体採用できるこのルールでは、主に使用される禁止伝説の組み合わせはそう多くはありません。しかし、取り巻きに応じて素早さ操作の種類や禁止伝説に対するメタなどは多岐にわたるため、特定の禁止伝説の組み合わせだけを対策したパーティーでは安定した勝率を確保するのが難しいと考えました。
そこで、禁止伝説の中でもわかりやすく強力な勝ち筋を生み出すカイオーガとゼルネアスを禁止伝説枠として選択しました。この2匹の組み合わせはトップメタとして特に対策される可能性が高い組み合わせですが、こちらの取り巻き次第ではその対策を踏み越えていけるだけのパワーがあります。
カイオーガとゼルネアスを組み合わせた構築としては、トルネロス、ガオガエン、モロバレル、カミツルギを一般枠として選択したいわゆるトルネオーガゼルネが、海外の大会でもすでに結果を残していました。この6匹の組み合わせはシンプルでいて、bo3ルールである海外でも勝ち抜けるほどの対応力があります。
この有名な6匹の組み合わせをベースとして微調整していこうと思ったのですが、6匹それぞれに役割があり、選出さえしっかりすればこのままでも戦っていけると感じたので、技と持ち物だけ調整して大会に臨みました。
結局、このルールはいかに選出と立ち回りをあらかじめ考えておけるかというゲームだと感じたのでそこらへんの考察はしっかり行いました。詳しくは選出例のところで述べたいと思います。
【個別解説】
技:ぼうふう おいかぜ ちょうはつ まもる
持ち物:きあいのタスキ
特性:いたずらごころ
性格:おくびょう
努力値:H4 C252 S252
実数値:155-X-90-177-100-179
カイオーガの苦手な草タイプを牽制しつつ、特性のおかげで「おいかぜ」ミラーの際も1ターンずらして「おいかぜ」展開ができる優秀なポケモンです。耐久型にして『ウイのみ』を持たせる選択肢もありましたが、今回はミラーの立ち回り上、相手のカミツルギの上をとる必要があったので最速『きあいのタスキ』型で使用しました。
非常に強力なポケモンではあるのですが、そのメジャーさと選出されるのが基本的に初手であることから、相手のカプ・コケコ及びカプ・テテフを初手に呼びやすいです。
また、「トリックルーム」を貼られた場合お荷物になってしまうので、基本的には素早さ操作を「おいかぜ」メインにしている構築に対してのみ選出しました。
技:しおふき こんげんのはどう ねっとう かみなり
持ち物:こだわりスカーフ
特性:あめふらし
性格:おくびょう
努力値:H4 C252 S252
実数値:176-X-110-202-160-156
このルールの王。トルネロスを基本選出とするならば「まもる」を入れた耐久型のほうが相手の「トリックルーム」に対応しやすくて良いのですが、この構築は相手に応じた柔軟な選出がウリであり、トルネロスを出さない試合も非常に多い(特にゼルネアスプランをとる際)ため、単体で仕事が出来るようになる『こだわりスカーフ』を持たせました。性格を臆病にした理由はトルネオーガミラーで「しおふき」を選択したいのが一番大きな理由です。カイオーガの『こだわりスカーフ』もちの割合は非常に多く(45.4% ※PGLで12/03時点)、先に「しおふき」を打てる可能性を高めるメリットは大きいと判断しました。
ゼルネアス
技:ムーンフォース マジカルシャイン ジオコントロール まもる
持ち物:パワフルハーブ
特性:フェアリーオーラ
性格:ひかえめ
努力値:H252 B4 C148 D76 S28
実数値:233-X-116-187-128-123
C:11n
S:準速70族抜き、「ジオコントロール」後に最速『こだわりスカーフ』もちカプ・テテフ抜き
H-D:残り。A189アマージョの「フェイント」×2+C202カイオーガの雨「しおふき」を耐える程度
素早さを大幅に削り耐久に厚く配分したゼルネアス。基本的に初手は「ジオコントロール」を押さず、試合の中盤以降にガオガエンとモロバレルのサポートや横のスカーフカイオーガで相手を縛りながら積んでいきます。構築全体で「まもる」を持っているポケモンが少ないため、相手の「トリックルーム」のターンをしのぐためにも耐久が必要でした。
技:リーフブレード せいなるつるぎ はたきおとす サイコカッター
持ち物:とつげきチョッキ
特性:ビーストブースト
性格:ようき
努力値:H4 A4 B4 D244 S252
実数値:135-202-152-X-82-177
実質禁止伝説みたいな一般枠。禁止伝説のカイオーガ、ゼルネアスにタイプ上強いだけでなく、ルナアーラなど相手にも「はたきおとす」が非常に強く、メジャーな禁止伝説すべてに有利なポケモンと言っても過言ではありません。当然ミラーも多く発生すると思われたので最速。耐久と素早さを両立する手段として『とつげきチョッキ』を持たせました。初手から積極的に繰り出し、相手の『こだわりスカーフ』を落として、裏のカイオーガにつなぐ動きなども非常に強力でした。通常のダブルバトルでは初手のカミツルギはガオガエン等を後投げされてすぐ止まってしまいますが、このルールでは裏に『こだわりスカーフ』もちカイオーガがいるため、ガオガエンにカミツルギを倒されることで逆に有利な盤面になることが多いです。
「サイコカッター」はドクロッグピンポイント気味ですが、ドクロッグの処理をトルネロスに一任するのは「フェイント」や「ふいうち」の存在から信頼できる処理ルートではないと判断し、カミツルギに処理を任せることにしました。一応モロバレルを半分程度削れることは覚えておいていいでしょう。(『ウタンのみ』も考えるともちろん最初は「はたきおとす」からうちますが)
持ち物:イアのみ
特性:いかく
性格:しんちょう
努力値:H236 D236 S36
実数値:200-135-110-X-154-85
H-D C183ゼルネアスの+2「ムーンフォース」確定耐え(169~199ダメージ)
S:「おいかぜ」時最速100族抜きのガオガエン+1
ゼルネアスを通すプランをとる際非常に重要になってくるポケモン。今回のINCではカプ・テテフやアマージョと組み合わせたカイオーガが多かったため、カイオーガ構築に出すことはあまりありませんでしたが、カイオーガのいないゼルネアス+ルナアーラorイベルタルorグラードンの組み合わせにはしっかりと活躍してくれました。
後攻「とんぼがえり」からカイオーガを繰り出す動きが非常に強力なので素早さは落としてもいいのですが、今回は相手のガオガエンに「ねこだまし」を打つ選択肢があるほうがいいと考え、できるだけ素早さに努力値をまわしました。
「はたきおとす」の枠はほかに「バークアウト」や「ほえる」、「ちょうはつ」などの選択肢がありますが、ディアルガに対して「はたきおとす」を入れられるかどうかで対ディアオーガ(ディアルガ+カイオーガの組み合わせ)の勝率が大きく変わるので「はたきおとす」にしました。その分相手のゼルネアスには隙を作らないよう気を付けなければいけません。
持ち物:ウタンのみ
特性:さいせいりょく
性格:なまいき
努力値:H236 B36 D236
実数値:219-X-95-105-143-31
「キノコのほうし」や「いかりのこな」でゼルネアスやとカイオーガをサポートしていくポケモン。ルナアーラやネクロズマ相手に選出していくために持ち物は『ウタンのみ』一択。初手から出して裏のオーガゼルネにつなぐことが多いです。
また、トルネオーガミラーはトルネロスを倒してモロバレルを通すプランをとるので、相手のカミツルギに打点を持てるようになる「イカサマ」を採用しました。「くさむすび」がないことで相手のカイオーガに対して打点を持てなくなるのは辛いですが、相手のカミツルギに打点を持てることはそれ以上にメリットがあると考えました。
【選出例】
〇対トルネオーガゼルネ(ミラー)
トルネオーガミラーはゼルネアスではなくカミツルギとモロバレルを通すプランを狙います。相手のトルネロスを早急に処理し、モロバレルで相手のゼルネアス、カイオーガを止め、カミツルギで〆ます。
ミラーにおいて、トルネロス+カイオーガの攻撃範囲を受けられるポケモンはお互いにいないため、初手はお互い必ずトルネロス+カイオーガになります。これ以外をだしたら基本負けます。
初手は「おいかぜ」+「しおふき」を選択。相手のカイオーガが『こだわりスカーフ』を持っていない場合、カミツルギでどうとでもなるので、持っている場合の立ち回りを主に考えました。
「かみなり」で拘った場合はトルネロスのHPがフルで残るため、カイオーガを下げてモロバレルでトルネロスを守る動きが成立します。「いかりのこな」を打ちながら相手のトルネロス方向に「ぼうふう」を連打。トルネロスさえ倒せばこちらのものです。ちなみに初手で同速「ちょうはつ」を打たれた場合カイオーガをつっぱらせてトルネロスをモロバレルに引けばまだ5分です。
「しおふき」で拘った場合はトルネロスのHPが1になりますが、カイオーガはつづけて「しおふき」を選択することができます。トルネロスは相手のバレルやツルギを削る役割があるのでモロバレルへ交代します。ここで相手もモロバレルを選出していればお互い同じ盤面になり、「キノコのほうし」を受けるためにお互いカイオーガがカミツルギに交換、と進みますがその際にイカサマがある分こちらが有利です。
※12/04 追記
相手がトルネガエンから入ってきた場合も「おいかぜ」+「しおふき」を選択しています。ガオガエンの「ねこだまし」の方向によって
①相手に一方的に「おいかぜ」を貼られる代わりに「しおふき」が通る
②「しおふき」が止められるがお互い「おいかぜ」または先制「ちょうはつ」でおたがい「おいかぜ」が貼れていない状態になる
に分岐しますが、
①のケースで一方的に「おいかぜ」を貼られてゼルネアスを出されたとしても、相手が「ジオコントロール」をするためにはこちらのトルネロスに「ちょうはつ」を打たなければならないため、カイオーガの二回目の「しおふき」でトルネロスが倒れます。そうなるとこちらのモロバレルで相手のゼルネアスを止めたり、終盤こちらだけ「おいかぜ」を貼りなおしたりできます。
②のケースはいわずもがな、「しおふき」が止まらないので問題ありません。
後発:カイオーガ+ゼルネアス
トルネロスのせいかおかげか、ほぼ確実に初手はカプ・テテフ+素早さ操作要員(基本ルナアーラ)なのでそこに合わせていきます。『ウタンのみ』モロバレルを倒しつつ素早さ操作を決めることはほぼ不可能なので
①モロバレルは倒されるが素早さ操作されないためカミツルギでルナアーラを縛れる
②素早さ操作は決められるがモロバレルが通る
のどちらかの展開になりやすいです。「ちょうはつ」+「トリックルーム」をされた場合「イカサマ」でルナアーラを小突きます。
先発:カミツルギ+ゼルネアス
大体カプ・コケコ+ルナアーラから選出されますが、この選出はゼルネアスがきつい形です。ゼルネアスは初手は積まずルナアーラに攻撃していくのが基本的に良くなりやすいです。ちなみにカプ・コケコとカプ・テテフ両方がいる構築にはツルギバレルから投げます。
〇対ゼルネアス+イベルタル
先発:カミツルギ+ゼルネアス
ゼルネアスを通すべき相手ですが、まずはゼルネアスでイベルタルを牽制しつつカミツルギで場を荒らします。試合中盤以降にゼルネアス+ガオガエンorモロバレルの並びを作ることを意識します。
ルンパッパが入ってる系の構築に対してはカイオーガを選出しません。相手は必ず選出してくるので雨が降っていなければゼルネアスの起点にしやすいです。
若干苦手な相手です。というのも構築上「トリックルーム」の対策をモロバレルに頼っている部分が大きいので『ぼうじんゴーグル』もちが非常に多いツンデツンデの相手は厳しめです。「トリックルーム」をされるターンに、カミツルギかガオガエンで「はたきおとす」を入れておきたいです。
ディアルガが「かえんほうしゃ」をもっていた場合ほぼ勝ち目はありませんが、なければカミツルギとモロバレルで戦っていけます。相手の初手はディアルガ+ガオガエンがほとんどですが、ガオガエンをモロバレルに交換されるので「トリックルーム」は確実に決められます。そこから両交換して「キノコのほうし」を無効にしつつ、トリルターンを切らしていく形になります。相手のモロバレルがカミツルギに打点を持っているケースが多いので、一旦カミツルギをガオガエンに戻す動きも有効です。
〇対ドーブル+ゼルネアス
初手はドーブルに「せいなるつるぎ」と「キノコのほうし」を集中します(「まもる」+「あくまのキッス」による最悪の展開を避けるため)。「このゆびとまれ」を打たれるケースが最も多く、ドーブルが眠ったらドーブルを倒さないようにもう一度ドーブル方向に「キノコのほうし」を打ちます。これで交代をケアしつつほぼ確実にゼルネアスを眠らせることができます。
ここまで動きを決めていたものの、INC中にはドーブルを眠らせた後ゼルネアスに「キノコのほうし」を打ってしまい、見事に「まもる」+ガオガエンバックをされて負けました(一敗)。あほすぎる……
※12/04 追記
眠ったドーブルに「キノコのほうし」を打つプレイングについて追加解説
自分の言葉が足りなかったようで、申し訳ありません。「このゆびとまれ」+「ジオコントロール」を選択された後の動きを想定しています。この場面で相手のゼルネアスがこちらのモロバレルの妨害を回避するためには、横の眠ってしまったドーブルを捨ててモロバレルを縛れるポケモンを出すか、上記のガオガエンのようにドーブルを交代して、「ねこだまし」ポケモンを出す必要があります。どちらの動きもゼルネアスが「まもる」を選択しながら横で状況を変える動きなのですが、もし相手がドーブルを捨てようとして交換しなかった時に、こちらのカミツルギが相手のドーブルを倒してしまうと、相手に積んだゼルネアス+好きなポケモンという強力な並びを作られてしまいます。しかし、だからといってゼルネアスを集中してしまうと、上記のように「まもる」+ドーブルをガオガエンに交代の動きで「キノコのほうし」を防がれてしまいます。
そのため、両方の動きをケアしたゼルネアス方向へ「リーフブレード」、ドーブル方向へ「キノコのほうし」を打つべき、という意味合いの文章でした。どちらの動きでも次のターンに改めてゼルネアスに「キノコのほうし」を打つことができます。
【構築総括】
「トリックルーム」が若干キツイという欠点はあるものの、選出とプレイングである程度カバーできるパワーがあり、みんなが使う構築はそれだけの理由があるのだと改めて感じました。やはり自分にはスタンダードな構築が肌に合っていると感じているので、種族値の高いポケモンをミスなく使えるようなプレイヤーを目指していきたいと思います。
【雑記】
TLを見た感じ正直1828でもボーダーに届いていない気がしますが、もし抜けていなかったとしてもムーンシリーズかウルトラシリーズで必ず抜けて全国大会、そして世界大会に行ってみせます。そのためにも次はきちんと2romで参加していきたいと思います。ここまで読んでいただきありがとうございました。